第一部 統一思想 第七章 芸術論 : 五 芸術と倫理 :

 芸術は万物主管の一つの形式です。ところで、本来、人間は人格を愛を完成したのちに、万物を主管するように創造されました。すなわち万物主管は人格完成を前提とするのであり、万物主管の行為をする芸術家も当然、倫理人であることが前提となるのです。そのように創作や鑑賞は万物主管の一つの形態に相当するために、芸術家は同時に倫理人であり、道徳人になるのが原則なのです。
 愛は主体が対象に与える情的な力であり、美は主体が対象から受ける情的な刺激です。愛は受ける立場から見れば美であり、美は与える立場から見れば愛です。このように愛と美は表裏一体の関係にあるのです。したがって愛を扱う倫理と美を扱う芸術は、不可分の密接な関係にあることを知ることができます。このような観点から見るとき、真の美は真の愛を基盤として成立するという結論になります。ところで世俗的芸術家たちは、小説、演劇、映画などを通じて、絶えず愛を扱っていますが、芸術人自身が倫理人になるのは簡単なことではありません。その理由は、世俗的芸術人が扱う愛は神様の愛ではなく、大部分が堕落世界の愛であり、それは人類始祖の不倫な愛から由来したものにすぎないためです。