第一部 統一思想 第四章 価値論 : 四 現実的価値の決定と価値基準 : (二) 価値の相対的基準と絶対的基準

 主観作用によって、価値決定と評価の結果は人によって異なるようになります。主体的条件に共通性が多いときには価値評価も一致点が多くなり、同じ宗教や思想をもつ人たちの間では、価値評価の結果はほとんど一致します。しかし宗教や思想、人生観、世界観、歴史観などが互いに異なるときには、一定の範囲内でのみ価値観が一致を見るようになります。このような現象は価値を評価する主体者のもっている共通性のゆえに起きます。共通した価値評価の基準が一定の範囲に限られるとき、その価値評価の共通性(基準)を相対基準といいます。
 一方、全人類の真なる平和が定着するためには、宗教や民族、文化、思想などの差を克服することができる評価基準、すなわち全人類に共通する価値評価の基準となる絶対基準が立てられなければなりません。このような絶対基準が立てられるためには、すべての宗教や民族、文化、思想などの究極的な源泉であられる根源者が一なる方であることを明らかにし、その根源者に由来する共通性を発見すればいいことになります。そのような全人類がもつことのできる汎世界的な共通基準は神様の絶対的愛と絶対的真理によって、初めて立てられることができます。その共通性が価値評価の絶対的基準になるのです。すべての人類が神様の絶対的愛を体験して、絶対的真理である宇宙を支配している永遠普遍なる理法を悟るとき、初めて価値観の統一が可能になるのです。
 絶対的基準に基づいて価値評価をする際にも、人間の個性による主観作用を避けることはできません。共通性を基盤にしながらも、差異性があるからです。絶対価値とは個人差を含んだ普遍価値です。しかし、そのとき差異性による価値観の混乱はあるはずがありません。なぜならば、そのときの差は質的な差ではなく量的な差だけだからです。したがって絶対価値に基づく価値観の統一が可能になるのです。