第一部 統一思想 第四章 価値論 : 四 現実的価値の決定と価値基準 : (一) 価値の決定と主観作用

 現実的価値は主体的条件と対象的条件の相対的な関係、すなわち授受作用によって決定されます。このとき対象は、創造目的と相対的要素間の調和、すなわち性相と形状、陽性と陰性、主要素と従要素の調和を本質的要素として備えています。このように価値決定において、対象が備えている価値の本質的要素を対象条件といいます。一方、価値決定には主体的条件が必要ですが、対象に対する主体の価値追求欲と関心がそれになります。さらに主体的条件には主体の主観的要因、すなわち主体の心の条件が含まれるのであり、その要因が価値の質的および量的な大きさを決定するのです。すなわち主体の思想、構想、趣味、個性、教養、人生観、歴史観、世界観などの主観的要因が価値決定を左右するようになります。そのように価値決定において必要な主体的条件は価値追求欲、関心、そして主観的要因となります。このような主体的条件と対象的条件が合わさって、初めて現実的価値が決定されるのです。
 価値の決定において、主観的要因が大きく作用するといいましたが、それは主体の評価作用が価値を決定するためです。すなわち主体の思想や世界観などの主観的要因が対象に反映されて、その主体だけが感じる特有な現実的価値が決定されるためなのです。このように主観的要因によって左右される主体の評価作用を「主観作用」といいます。言い換えれば、価値を評価したり判断する際に、主体の主観が対象に反映される現象を主観作用といいます。