第一部 統一思想 第四章 価値論 : 三 価値の本質 : (一) 価値の本質的要素と潜在的価値

 すでに述べられているように「主体の欲望を充足する対象の性質」を価値というとき、その価値は対象がもっている性質としての潜在的価値をいうものです。ところで潜在的価値とは、価値の本質的要素として、対象がもっている内容や属性または条件などをいいます。すなわち、真美善などの価値はそれ自体として対象に与えられているのではなく、そのような価値になることのできる要素(本質的要素)として対象の内部に潜在しているのです。それが対象がもっている潜在的価値なのです。
 それでは価値の本質、すなわち対象の本質的要素になる内容や属性や条件とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。それは対象がもっている創造目的と対象の中にある相対的要素相互間の調和をいいます。まず、すべての被造物には必ず創造された目的があり、それが価値の本質的要素をなしています。次に、すべての万物は神様の原相に似て、必ずその内部に性相と形状、陽性と陰性、主要素と従要素間の授受作用によって調和がなされていますが、この調和をなしている状態もやはり価値の本質的要素となっています。