第一部 統一思想 第四章 価値論 : 二 価値論の原理的根拠 :

 人間の欲望は何のためにあるのでしょうか。それは創造目的を実現するためにです。人間に創造目的を実現するための衝動的な意欲がなければ、その目的をなすことはできません。人間の欲望には性相的欲望と形状的欲望があります。性相的欲望とは、生心の欲望、すなわち真美善と愛など性相的価値を追求する欲望であり、形状的欲望とは、肉心の欲望、すなわち衣食住と性など形状的価値を追求する欲望です。そして肉身は霊人体が成長する土台になるために、形状的価値は性相的価値を追求するための必要条件であり手段なのです。
 人間はまた、全体目的と個体目的という二重目的をもつ連体です。これは性相(生心)も全体目的と個体目的をもっており、形状(肉心)も全体目的と個体目的をもっていることを意味します。ところで欲望とは、与えられた目的を達成しようという心の衝動なので、欲望には全体目的を達成しようとする欲望と個体目的を達成しようとする欲望があります。前者を価値実現欲といい、後者を価値追求欲といいます。したがって性相的欲望にも価値実現欲と価値追求欲があり、形状的欲望にも価値実現欲と価値追求欲があります。