第一部 統一思想 第四章 価値論 : :

 今日の時代は大混乱の時代、大喪失の時代と規定することができます。混乱と喪失が生じるようになった根本原因は伝統的な価値観の崩壊のためです。そのような価値観の崩壊の原因は何なのでしょうか。
 第一に、政治、経済、社会、教育、芸術など、すべての分野において神様を排除して宗教を軽視してきたためです。第二に、唯物論や無神論、特に共産主義思想の浸透による価値観の破壊のためです。第三に、宗教相互間の対立や思想相互間の相衝のためです。第四に、伝統的な宗教(儒教、仏教、キリスト教、イスラム教など)の徳目が、科学的な思考方式をもつ現代人たちにとって説得力を失っているためです。したがって、ここに必然的に新しい価値観の定立が要求されるのです。未来社会は、神様の心情を中心とした知情意の機能が調和的に発達した人間によって構成される社会であり、真実社会(真の社会)、芸術社会(美の社会)、倫理社会(善の社会)になります。価値論は真美善の価値を総合的に扱う部門であって、教育論、倫理論、芸術論の総論となります。したがって心情を中心として真美善の価値が実現された心情文化の社会、統一文化の社会である未来社会に備えるためにも新しい価値観が必要なのです。