第一部 統一思想 第三章 本性論 : 三 格位的存在 : (三) 連体意識と民主主義

 人間は主体格位と対象格位を兼ね備えた存在、すなわち二重格位をもった存在です。これを連体格位といいます。連体格位において、もたなければならない心の姿勢は対象意識と主体意識を兼ね備えた連体意識です。
 民主主義の平等の思想は、神様の前での対象としての平等から、法の前での主体としての権利の平等に変質してきました。その結果、本来からもっていた民主主義の矛盾である主体と主体の相克的な要因が表面化されて、様々な社会的混乱が現れるようになりました。民主主義社会において、個人の主体としての権利のみを主張した結果、神様に対する宗教的愛のような調節機能がない限り、必然的に相衝現象を克服することができなくなったのです。ここに民主主義の社会の矛盾を解決するためには、人間本来の対象意識を復活させなければならないのです。すなわち民主主義が人類の真の主体である神様を再び迎え入れて、民主主義が出発するときの本来の精神である神様の前の平等の思想に戻らなければならないのです。「統一思想」では、神様を中心とした民主主義を「天父を中心とした兄弟主義」と呼んでいます。