第一部　統一思想　第三章 本性論 : 一　神相的存在 : （三）　個性体

　個性真理体を扱うのに、個別相に重点をおくときの個性真理体を個性体といいます。個性体としての人間の個別相は動物や植物とは異なります。すなわち、動物や植物においては種類別の個別相なのですが、人間においては個人別の個別相なのです。そのように、神様が特に人間に個人ごとに独特な個別相を与えられたのは、人間一人一人に対しながら特有の刺激的な喜びを得るためでした。したがって、人間は各々特有の個性をもって神様に最高の喜びをお返しする価値をもつ存在であって、そのような個別相も人間の本性の一つなのです。
　そのような個別相は三つの側面から人間の特性として現れます。第一に、容貌の特徴、第二に行動の特徴、第三に創作の特徴です。創作とは、芸術の創作だけではなく、創造性を発揮するすべての人間活動を含んでいます。神様が個々の人間を見て喜ばれるということは、個々の人間がそれぞれの容貌や行動や創作を通じて、神様に固有の美をお返しすることを意味します。それが個性美なのです。したがって個性美とは、容貌上の個性美であり、行動上の個性美であり、創作上の個性美なのです。
　ところで、人間の堕落によって今日まで人間の個性は無視され、人権が蹂躙される場合が多かったのです。特に共産主義は、唯物論に基づいて、人間の個性を環境の産物と見るために個性を軽視します。人道主義（humanism）は、人間の個性の価値を強調していますが、その哲学的根拠を正しく提示できないでいます。それに対して「統一思想」は、人間の個性は環境の産物や偶然的なものではなく、神様の個別相に由来する、この上なく尊貴なものと見ることによって確固とした神学的哲学的根拠を提示しているのです。