第一部　統一思想　第三章 本性論 : 一　神相的存在 : （二）　陽性と陰性の調和体

　陽性と陰性は性相と形状の属性ですが、本性論でいう陽性と陰性は陽性実体と陰性実体としての夫婦のことをいいます。動物と植物はもちろん鉱物も、すべて陽陰の結合によって存在し、繁殖しています。すべての万物がそうであるために、人間の陽陰すなわち夫婦の結合も、単純な男性と女性による肉体的結合と見やすいのですが、これは夫婦を生物学的な観点だけで見る立場です。夫婦の結合は生物学的結合だけではなく、人格と愛の結合を前提としています。真の人間性の完成は、個体完成の上に、夫婦の人格的関係を土台とした家庭を通じて、初めて具現するものなのです。さらに「統一思想」から見た夫婦の結合は天宙的な意味をもっているのです。
　第一に、本然の夫婦はそれぞれ神様の陽性と陰性の二性性相の一性を代表する存在です。したがって夫婦の結合は陽性・陰性をもつ神様の顕現を意味します。第二に、本然の夫婦の結合は神様の創造過程の最後の段階であるために、それはまさに宇宙創造の完了を意味します。宇宙創造の最終的な目標は、万物の主管主である人間に出現にあるからです。第三に、本然の夫婦はそれぞれ人類の半分を代表する存在です。夫婦において、夫は全人類の男性を代表し、妻は全人類の女性を代表しています。したがって夫婦の結合は人類の統一を意味します。第四に、本然の夫婦はそれぞれ世界の家庭の半分を代表する存在です。家庭において、夫はすべての男性を代表し、妻はすべての女性を代表する立場であるためです。したがって夫婦の結合は家庭の完成を意味します。
　以上のような側面から見るとき、家庭において夫と妻の愛の結合は、神様の顕現、宇宙創造の完了、人類の統一、家庭の完成を意味します。このように夫婦の結合は実に神聖で尊貴な結合なのです。
　夫婦がそれぞれ本心に従って生きるのは原相の内的四位基台に似ることであり、互いに調和をなすのは原相の外的四位基台に似ることです。夫婦がこのように原相の姿に完全に似て、人格者に成熟したのちに、創造目的を中心として互いに愛を与えて受ける授受作用をするようになれば、神様の愛がそこに臨在するようになります。家庭は夫婦の横的愛と神様の縦的愛が触れ合うところであるからです。このように人間は構成要素から見て宇宙の縮小体であり、家庭は秩序から見て宇宙の縮小体です。したがって夫婦の和愛を通じた家庭の問題は、社会問題と世界問題を解決する鍵であるということができるのです。このような観点から見る時、本性的な人間観を一言で表現すれば、人間は愛的人間（Homo amans）である、ということになります。