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第一部 統一思想 第二章 存在論 : 一 個性真理体 : (三) 主体と対象 |
(1)個性真理体の三元性
万物は時空的性格を帯びた存在であるために、個性真理体は性相と形状、陽性と陰性の相対的要素のほかに、主要素と従要素(または主個体と従個体)という、もう一対の相対的要素をもっています。そうして、万物は必ず三種類の主体と対象の相対的要素、すなわち性相と形状、陽性と陰性、主要素と従要素をもつようになりますが、これを「個性真理体の三元性」と呼びます。主体と対象の類型を分類すると次のようになります。
第一は、本来型です。神様の創造から見て、永遠、普遍的に成立する主体と対象の関係をいいます。例を挙げると、父母と子女、夫と妻、教師と学生、恒星と惑星、細胞核と細胞質、原子核と電子などの関係がそうです。
第二は、暫定型です。暫定的に成立する主体と対象の関係であって、例を挙げると、講義が進行する間に成立する講師と受講者の関係がそうです。
第三は、交互型です。人間相互間の対話のように、主体と対象が互いに変わる場合の両者の関係です。
第四は、不定型です。どちらが主体であり、どちらが対象であるかを人間が恣意的に決定する場合です。例えば動物と植物の関係において、動物は炭酸ガスを放出して植物に与え、植物は酸素を放出して動物に与えます。ここで酸素の流れから見るときには植物が主体であり、炭酸ガスの流れから見るときには動物が主体です。
(2)被造世界における個性真理体の系列
存在者は必ず性相と形状、陽性と陰性、主要素と従要素の主体と対象の相対的要素をもっています。ここで極大世界である天宙から極微世界である素粒子に至るまで、各級の個性真理体を調べながら、主体と対象の実際的な例を見てみます。
天宙がいくら大きいといっても、それはやはり一つの個性真理体です。天宙は霊界と宇宙(地上界)からできています。霊界は目に見えない宇宙であり、地上界は目に見える宇宙ですが、それが主体と対象の関係をなしているのです。宇宙も一つの個性真理体です。宇宙には中心があり、その中心に対して約二千億個と推算される銀河(星雲)が回っています。そこにおいて宇宙の中心にある部分が主要素であり、銀河は従要素です。
銀河系も一つの個性真理体ですが、中心核をなす核恒星系(主要素)とそれを取り囲む約二千億個の星(従要素)から構成された星の大集団です。太陽系は一つの太陽と九つの惑星、地球は中心部と地殻の主要素と従要素によって構成されています。一方、家庭は父母(主個体)と子女(従個体)、夫(陽性)と妻(陰性)の主体と対象の関係によって構成されています。そして肉身は脳と肢体、細胞は核と細胞質、細胞核は染色体と核液、染色体は核酸(DNA)とタンパク質、核酸は塩基と糖・燐酸、原子は陽子と電子、そして素粒子も低い次元の主要素と従要素からできていると見ることができます。
このように被造世界には、小さくは素粒子から大きくは天宙に至るまで様々な階層の数多くの個性真理体があり、これらはすべて主体と対象の相対関係からできています。ところで、ある個性真理体はそれより上位の個性真理体から見るとき、一つの構成要素にすぎません。これはすべての個性真理体が原相の二段構造に似て、内的に主体と対象の二つの要素をもちながら、同時に外的に他の個体と主体と対象の県警を結んでいるためです。このように一つの個性真理体が内的、外的に主体と対象の関係を結んでいることを被造物の「存在の二段構造」といいます。
(3)授受作用
主体と対象の相対関係にある二つの個体が、共通目的を中心として一定の力と要素を授けて受ける作用をするとき、これを授受作用といいます。万物はこの授受作用によって、生存し、繁殖し、変化し、発展しています。授受作用には様々な類型がありますが、それは主体と対象が意志または意識をもっているかどうかによって区別される類型です。授受作用の類型には次のようなものがあります。
第一は、両側意識型の授受作用です。授業時間に教える教師は主体であり、学生は対象ですが、両者は共に意識をもって授受作用をしています。
第二は、片側意識型の授受作用です。教師がチョークで黒板に文字を書くとき、教師とチョークの間にも授受作用がなされます。その場合、教師は意識をもっていますがチョークはそうではありません。
第三は、無自覚型の授受作用です。動物と植物が無意識中に炭酸ガスと酸素を交換していますが、このように主体と対象の両者あるいは一方(主体)が意識をもっていながらも、互いに無自覚的に授受作用をしている場合をいいます。
第四は、他律型の授受作用です。主体と対象共に意識はありませんが、第三者の意志によって他律的に授受作用をしている場合です。例えば、太陽(主体)と地球(対象)の授受作用がそうです。
第五は、対比型の授受作用です。人間が二つまたは多数の事物を対比(対照)して、それらの間に調和を発見するとき、それらは授受作用をしているものと主観的にみなすのです。これを対比型または対照型の授受作用といいます。
(4)相対物と対立物
個性真理体の中には必ず主体と対象の相対的要素がありますが、この相対的要素を「相対物」といいます。すべての事物は必ず二つの要素を内包しているという点において「統一思想」と唯物弁証法は似ています。しかし、発展に関して両者の主張は異なります。万一、共通目的が内包されていることが確認されれば、二つの要素は相対物であり、内包されていなければ「対立物」ということができます。また、二つの要素の相互作用が調和的であれば相対物の授受作用であり、そうでなければ対立物の弁証法的な作用です。そして、二つの要素の格位が共に主体であれば闘争関係にある対立物であり、格位が異なれば主体と対象の相対物です。結論的に言えば、自然は「弁証法の検証」ではなく、「授受法の検証」なのです。