第一部 統一思想 第一章 原相論 : 二 原相の構造 : (四) 正分合作用

 四位基台は、中心、主体、対象、結果という四つの要素間の授受作用を空間的次元で扱った概念です。ところで、すべての現象は空間性とともに時間性を帯びています。授受作用を時間的次元から把握した概念が正分合作用です。四つの要素の授受作用において、まず中心が立てられ、次に主体と対象が授受作用を行い、結果が現れるのですが、このような時間的三段階過程から把握する授受作用がまさに正分合作用なのです。したがって正分合作用の種類は四位基台の種類に対応しています。つまり、内的自同的正分合作用、外的自同的正分合作用、内的発展的正分合作用、外的発展的正分合作用という四種類の正分合作用がそれです。
 時間性を帯びたこの正分合作用の概念は、特に共産主義唯物弁証法の正反合の法則と比較できるという点で意義があります。マルクスは唯物論とヘーゲルの弁証法を結びつけて唯物弁証法を立てましたが、その弁証法は正−反−合の形式をとる発展の理論です。唯物弁証法において、正−反−合の形式は矛盾による発展の形式であって、正と反という対立物の統一と闘争によって事物は発展するというものです。しかし実際は、統一は無視して、闘争による発展のみを弁証法的発展と見ています。これは「統一思想」の発展の概念とは一致しません。「統一思想」から見れば、発展に必要な二つの要素は対立物ではなく相対物です。主体と対象、すなわち相対物の調和のある授受作用によってのみ、発展はなされるのです。
 またいかなる事物の発展においても、必ず共通目的を中心とした主体と対象間の円滑な授受作用によってなされます。唯物弁証法は発展において目的概念を否定しますが、目的(目標)が立てられないところに発展がなされることはありません。したがって、共産主義の正反合理論は発展に関する現実問題の解決に失敗しており、これに対する唯一の代案として立てられるのが、授受作用を時間的に把握した「統一思想」の正分合理論なのです。