第一部 統一思想 第十一章 方法論 : 二 「統一方法論」から見た従来の方法論 : (八) ヒュームの経験論

 ヒュームは因果性を人間が事物を見る主観的な信念にすぎないとしましたが、「統一思想」の立場から見れば、因果性は主観的であると同時に客観的なものなのです。すなわち、われわれ人間の心も因果性の慣習に従って自然を観察し、自然も実際に因果性をもって作用するのです。ヒュームはまた、物質的な実体を否定しただけでなく、精神的な実体(自我)も否定するという懐疑論を主張し、存在するものは観念の束に過ぎないとしたのです。「統一思想」から見れば、彼は内的形状(観念)だけを確実なものと見たということができます。