第一部 統一思想 第十一章 方法論 : 二 「統一方法論」から見た従来の方法論 : (五) アリストテレスの演繹法

 アリストテレスは普遍命題(前提)から個別命題(結論)を引き出す演繹法こそ確実な知識を与えるとしたのです。一般的に彼の演繹法は三段論法といいますが、それがまず二つの普遍的真理を前提として立てたのち、その二つの前提から個別的な真理を結論として導く方法です。例を挙げると「すべての人間は死ぬ」という大前提と「ソクラテスは人間である」という小前提を対比して、「ソクラテスは死ぬ」という結論を下すものなのです。これは命題と命題の対比形の授受作用です。さらに「ソクラテスは人間である」という命題自体も、「ソクラテス」と「人間」を対比して得られるものですので、これも対比形の授受作用です。したがってアリストテレスの演繹法は、プラトンの場合と同様、対比形の内的授受作用による真理探究の方法ということができます。