第一部 統一思想 第十章 論理学 : 二 「統一論理学」から見た従来の論理学 : (四) 先験的論理学

 カントの論理学を先験的論理学といいます。形式論理学では思考の法則と形式を扱いますが、カントのいう形式は先天的な形式であって経験によらないものであるというのです。カントは、対象から感性的内容と人間悟性の先天的思惟形式が結合されて、認識の対象が構成されることによって、初めて認識と思考がなされると主張したのです。しかし、カントのいう先天的形式と感性的内容だけでは認識対象(万物)に対する思考の真理性は保証されません。
 「統一思想」から見るとき、認識の対象である万物には、内容(感性的内容)だけでなく形式(存在形式)もあり、認識の主体である人間にも、内容(内容像)だけでなく形式(思惟形式)があります。そして人間と万物の必然的関係から見て、人間がもっている内容と形式は万物がもっている内容と形式に対応しているのです。したがって人間の思惟形式と万物の存在形式の間の対応性が導かれるのです。このようにカントとは異なり、「統一思想」では対象を認識するために必要な主体的要件が完全に備えられているのであり、認識(または思考)の論理性と真理性が保証されているのです。