第一部 統一思想 第十章 論理学 : 一 「統一論理学」 : (一) 基本的立場

 (1)思考の出発点とその基準
 人間はなぜ思考しなければならないのでしょうか。すなわち、思考の起源は何なのでしょうか。それは神様が創造の前にまず考えられたということに、その起源を見ることができます。すなわち神様は、宇宙の創造に先立って、心情を動機として、愛を実現しようという目的を立てて、その目的に一致する内容を心の中に考えられたのです。それが構想であり、ロゴス(み言)です。したがって神様に似せて創造された人間の思考も本来、自己の利益を中心として考えるのではなく、愛を実現しようとする目的をもって考えなければならないのです。このように人間の思考の動機は心情または愛であり、人間の思考は愛の実践のための思考なのです。これが本来の思考の出発点であり、方向なのです。
 人間の思考の基準も原相にあって、それは原相の論理的構造です。すなわち原相において、ロゴス(構想)が生成されるときに形成される内的発展的四位基台が、人間における思考の基準なのです。

 (2)原相構造と論理学の関連分野
 原相における内外の二段階の四位基台を「原相の二段構造」といい、この内外の四位基台が発展的側面を帯びたときの原相構造を「創造の二段階」といいます。したがって原相に似て創造された人間も「存在の二段構造」と「創造の二段構造」をもっています。人間において、論理構造、認識構造、存在構造、主管構造などは、みな原相構造に似て、二段構造の形態を帯びているのです。
 ここで論理構造とは、創造の二段構造における内的四位基台をいい、、認識構造や主管構造とは、創造の二段構造における外的四位基台をいいます。したがって論理構造を基盤とする論理学は認識構造や主管構造を基盤とするすべての文化領域と密接に関連しているのです。このとき認識構造に該当するのが様々な科学の探求領域であり、主管構造に該当するのが生産や実践、すなわち産業、政治、経済、教育、芸術などです。