第一部 統一思想 第八章 歴史論 : 三 歴史の変遷 :

 歴史は二つの方向、すなわち発展(進展)の方向と復帰(転換)の方向に変遷してきました。発展とは、科学や経済、文化が発達することを意味し、復帰とは、失われた愛と平和の創造理想世界を回復することを意味します。そのように歴史に二つの方向が生じたのは、人類歴史が再創造歴史であると同時に復帰摂理歴史であるためです。
 歴史の変遷過程において、特に重要なのは「授受作用の法則」と、「相克の法則」、「分立の法則」、「蕩減の法則」です。そのうち歴史の発展を支配してきた法則は、もっぱら「授受作用の法則」であり、歴史の転換に作用してきた法則は、「相克の法則」、「分立の法則」、「蕩減の法則」の三つの法則です。したがって歴史の変遷過程において「発展の法則」は「授受作用の法則」であり、「転換の法則」はこの三つの法則を合わせたものをいいます。ここで「転換の法則」を「善悪の闘争の法則」ともいいます。
 発展は共通目的を中心とした主体と対象の授受作用によってのみなされる現象であるために、そこには相衝や対立が現れることはありません。共産主義の唯物史観では、歴史発展の原因を階級闘争と見ていますが、闘争や矛盾によって発展がなされることはなく、むしろ発展は停止し、破壊されるだけなのです。歴史に現れた闘争は、唯物史観でいうように階級闘争ではなく、歴史が転換する時になされた善悪の闘争なのです。歴史の転換は発展の一定の段階でなされますが、善悪の闘争において善が勝利することによって、歴史は復帰の方向に転換するようになります。そのとき相克の法則、分立の法則、蕩減の法則が共に作用します。歴史において、この三つの転換の法則が共に作用するとき、常に闘争が起きたのです。しかし歴史の方向の転換期において、闘争が必ず必要なものではありません。悪の側の指導者が善の側の指導者に従順によく従えば、平和的に転換がなされるのです。