第一部 統一思想 第八章 歴史論 : 二 創造の法則と復帰の法則 : (二) 復帰の法則

 創造の法則が宇宙の創造と授受作用に関する法則であるのに対して、復帰の法則は、このような創造の法則に違反した堕落人間を蕩減するために、復帰摂理史において新しく立てられた法則です。人間の本然の姿に復帰されるためには、もう一つの一連の法則が守られなければなりませんが、その一連の法則がまさに復帰の法則なのです。復帰の法則には、「蕩減の法則」、「分立の法則」、「四数復帰の法則」、「条件的摂理の法則」、「偽と真の先後の法則」、「縦の横的展開の法則」、「同時性摂理の法則」の七つの法則があります。

 (1)蕩減の法則
 堕落によって本然の位置と状態を喪失した人間が、本然の位置と状態を回復しようとすれば、一定の条件を立てなければなりません。その条件を立てることを蕩減といい、そのような条件を立てて本然の位置と状態に帰ることを蕩減復帰といいます。そして蕩減復帰のために立てる条件を蕩減条件といいます。ここで蕩減条件とは、堕落によって失ってしまった信仰基台と実体基台を再び造成することをいいます。信仰基台とは、神様が立てた中心人物である指導者を中心として、一定の数理的蕩減期間を経ながら、一定の条件物を立てることをいいます。そして実体基台は、神様が立てた中心人物に従順に、屈服して、従うことを意味します。歴史上、義人と聖賢たちの苦難の路程は、それを蕩減条件として、罪悪世界の人々を神様の側に復帰するためのものでした。そこにも「蕩減の法則」が作用したのはもちろんです。

 (2)分立の法則
 分立とは、善の側と悪の側に分け立てることをいい、人類歴史のすべての対立と葛藤、闘争の背後には、このような善悪の価値観の争いが根本的に示されています。その理由は神様のみに相対しなければならなかった人間が、堕落によって、神様とサタンの二人の主人に対する中間位置に置かれるようになったためです。そのように非原理的な立場に置かれた堕落人間を通じては、原理的な摂理をすることができないために、それぞれ神側(善側)とサタン側(悪の側)に分立して、善の側が悪の側に勝利することによって、善の世界を復帰するようにせしめるのです。これが「分立の法則」です。唯物史観では歴史に現れた闘争を階級闘争と見ますが、それは暴力革命を正当化するために捏造されたものです。人類歴史は階級闘争の歴史ではなく、善の側と悪の側の闘争の歴史なのです。階級闘争のような様相を帯びた闘争も、実は、その性格は善悪の闘争であったのです。

 (3)四数復帰の法則
 四数は堕落によってサタンに奪われた家庭的四位基台を復帰するための条件の数です。神様の創造目的は、家庭的四位基台を通じて神様の愛を実現することにあったので、四数復帰は復帰摂理の最終的な目的である家庭的四位基台を復帰するという意味をもちます。そのために神様はまず、四十、四百などの四数の期間を探し立てる条件的な摂理をしてこられたのです。このような摂理を「四数を復帰する摂理の法則」または簡単に「四数復帰の法則」と呼びます。例を挙げれば、ノアの四十日洪水審判、モーセの荒野路程四十年、ローマ帝国のキリスト教迫害時代四百年などがそれに相当します。

 (4)条件的摂理の法則
 「条件的摂理の法則」とは、過去の摂理的な特定の事件において、中心人物が神様のみ旨に適うように責任分担を全うするか否かの条件によって、それ以後の摂理時代の性格が決定されることをいいます。すなわち、摂理的事件は偶発的な事件ではなく、それ以前の様々な要因によってある程度、条件づけられているということなのです。そのように一時代の摂理的事件が、どのように展開されたか(すなわち、どのように条件づけられたか)によって、その後に展開される歴史的事件の性格が決定されたのです。このような内容を「条件的摂理の法則」といいます。
 例えばノアの箱舟の鳩や、旧約時代の幕屋と神殿は偶然のものではなく、のちに降臨するメシヤを象徴する条件的な表現物でした。万一、召命された摂理的人物が、この条件的摂理において責任分担を全うできなければ、サタンはそれを条件として、実体的なメシヤ路程に侵犯するようになるのです。

 (5)偽と真の先後の法則
 この法則は歴史において真のものが現れる前に、まず偽りのものが現れるという法則です。人類歴史は悪の側が善の側を制圧することによって、悪の歴史が出発したのであり、歴史の変遷過程において、サタンはいつも天の側の理想を盗んで、先に実現しようと試みてきました。一方、神様はサタンの後ろについてきながら、サタンがなそうとした理想型の世界と人物を神側に復帰させてこられました。これは神側の理想世界である真のものが現れる前に、サタン側の理想世界である偽りのものが先に出現したことを意味します。これが「偽と真の先後の法則」です。例を挙げれば、イエス様を中心とした神側の世界国家が現れる前に、サタン側の世界国家であるカエサルを中心としたローマ帝国が先に出現したのであり、終わりの日に再臨のメシヤを中心とした神側の統一世界が出現する前に、サタン側の理想世界である共産世界が先に出現したのです。

 (6)縦の横的展開の法則
 縦とは時間の流れである累積された歴史をいい、横とは空間的広さである現実世界をいいます。縦の横的展開とは、歴史上のすべての摂理的な事件と人物を、週末時代に世界的に再現させて、総体的に摂理するという意味なのです。これは復帰摂理歴史上の様々な時点において、解決できなかった摂理的事件を終末に成功裡に解決することによって、復帰摂理全体を一時に総体的に蕩減復帰して、摂理歴史を完結させるためのものなのです。したがって、終末には世界的に様々な困難で複雑な事件が続出しますが、それは歴史的にもつれた縦的な事件が、一時に現実世界に横的に展開されるために起きる現象なのです。すなわち歴史的に未完結の摂理的事件を、再臨のメシヤを中心として横的に完結しようとする神様の摂理の一環なのです。

 (7)同時性摂理の法則
 過去の歴史にあった一定の摂理的事件(中心人物、事件、数理的期間)が、時代ごとに反復されて現れることを「同時性摂理の法則」といいます。これは、ある摂理的な中心人物がその責任分担を全うできなかったとき、その人物を中心とした摂理の一時代は終わるようになり、一定の期間を経過したのちに、類似した他の人物が立てられ、前の時代の摂理を蕩減復帰するために、同様な摂理歴史が繰り返されるためです。その典型的な例がアブラハムからイエス様まで二千年間の摂理と、イエス様から再臨主の降臨期である今日に至るまでの二千年間の摂理です。この二つの時期の摂理はその内容や人物、事件、期間などがよく似ています。そのように歴史上には、内容が似ている時期が同時性を帯びて繰り返されたことを知ることができます。