第一部 統一思想 第八章 歴史論 : 二 創造の法則と復帰の法則 : (一) 創造の法則

 歴史に作用した創造の法則は、広い意味の発展の法則です。これは歴史の発展に作用した法則であって、相対性の法則、授受作用の法則、相克の法則、中心の主管の法則、三段階完成の法則、六数期間の法則、責任分担の法則の七つの法則です。

 (1)相対性の法則
 被造物はすべて、主体的要素と対象的要素の相対関係を結んで存在しています。このように一つの個体が他の個体とともに主体と対象の相対関係を結ぶという事実を「相対性の法則」といいます。したがって歴史と社会が発展するための必要条件は、政治、経済、文化、科学などのすべての分野において、主体と対象の相対的要素が相対関係を結ぶことであって、この関係性を無視しては、いかなる発展もなされません。

 (2)授受作用の法則
 事物の内部において、主体と対象の相対的な二つの要素が相対関係を結べば、そのとき、一定の要素または力を授け受ける作用が起きます。主体と対象の間のこのような相互作用を授受作用といい、このような作用がなされる法則を「授受作用の法則」といいます。個人、家庭、団体、産業、政治、経済、芸術、宗教、教育など、人間社会のいかなる領域においても、授受作用の法則を通じて発展がなされるのであり、歴史もこの法則に従って発展します。授受作用は対立したり相衝的なものでは決してなく、主体と対象が共通目的を中心として相互作用するので、円満性、調和性、円滑性がその特徴となっています。

 (3)相克の法則
 主体と主体、あるいは対象と対象が互いに排斥する現象を相克作用といいます。相克作用は本来、自然界においては潜在的なものであって、表面化せず、主体と対象の授受作用を強化または補完する役割を果たしています。しかし歴史と社会において、主体と主体の相克作用は善悪の対決または闘争の様相として現れます。善側が勝利すれば善の方向に、悪側が勝利すれば悪の方向に歴史は転換するようになります。

 (4)中心の主管の法則
 復帰歴史において、神様は中心人物を立てたのち、彼を通じて歴史を善の方向に導かれます。その場合、まず社会環境を造成しておいたのちに、中心人物をして、その環境を神様の摂理に適う方向に収拾せしめられるのです。したがって中心人物には、環境を収拾し、主管しなければならない責任分担が与えられています。そのような神様の復帰摂理において、中心人物が社会環境を主管することを「中心の主管の法則」といいます。環境が指導的人物を生むのか、指導的人物が環境を支配するのかという論争において、唯物論は前者の立場をとります。しかし歴史変遷の一定段階において、神様は社会的環境を摂理の方向に収拾するために、中心人物を立てて環境を主管せしめられるのです。

 (5)三段階完成の法則
 すべての事物の成長と発展は三段階過程を通じてなされるというのが、「三段階完成の法則」です。復帰摂理にも、この法則がそのまま適用されて、一定の摂理の計画が一次でなされなければ、二次、三次まで延長して、同一の形態で反復されながら完成するようになります。三次の宗教改革運動、三次の人本主義運動、三次の世界大戦などは、この法則が適用された例です。

 (6)六数期間の法則
 聖書によれば、アダムは六日目に創造されましたが、この六数期間はアダムを造るための準備期間でした。同じように再創造歴史においても、第二アダムであるイエス様が来られる六数期間前、すなわち六世紀前から神様はメシヤを迎えるための準備を始められたのです。例えば紀元前六世紀ごろ、中国の孔子、インドの釈迦、中東のゾロアスター、ギリシアの哲学者などがほとんど同時代に出現したのも、偶然のことではなく、メシヤを迎えるための準備期間であったからなのです。同様に第三アダムである再臨のメシヤが降臨する六世紀前である十四世紀ごろから、宗教改革とルネサンス運動が胎動し、現代に至るまで科学と経済が急速に発達したのです。十四世紀から六世紀間の六数期間も、やはりメシヤの再降臨を準備する期間に相当するのです。

 (7)責任分担の法則
 創造の摂理と同様に、再創造の摂理も、神様の責任分担と人間の責任分担が合わせて完全に果たされることによって成就されます。人間の責任分担とは、摂理的人物が与えられた使命を自身の自由意志によって責任をもって完遂することを意味します。したがって摂理的人物たちが自身の知恵と努力で神様のみ旨に合うように責任分担を全うすれば、復帰摂理は新しい段階に発展しますが、もしその人物が責任分担を全うできなければ、彼を中心とした摂理は失敗するようになります。そうすれば摂理は延長されて、一定の数理的期間を経過したのちに、新しい人物が召命を受けて、同一の摂理をもう一度反復するのです。