第十章 論理学 : 二 統一論理学 : (二) 原相の論理的構造

 以上で、統一論理学の序論に相当する「基本的立場」の説明を終えられています。次に統一論理学の本論に入ります。

 ロゴス形成の構造と内的発展的四位基台
 これまでに述べられているように、論理学は思考の法則と形式に関する学問です。ところで統一論理学の根拠は、原相の本性相内の内的四位基台、特に内的発展的四位基台にあります。したがって論理学が思考を取り扱う学問である以上、この内的発展的四位基台において、いかにして思考が発生するかを調べてみなければなりません。
 原相論において述べられているように、本性相内の内的発展的四位基台の内的性相は、知、情、意であり、内的形状は観念、概念、原則、数理です。内的発展的四位基台において、目的を中心として授受作用が行われますが、目的は心情(愛)を基盤として立てられます。すなわち心情(愛)の目的を実現するために授受作用が行われ、ロゴスつまり構想が形成されます。ゆえに構想は、あくまでも愛の目的を実現するための構想なのです。それが論理構造です。そのように「心情(愛)の目的を実現する内的授受作用によってロゴスを形成する内的四位基台」が、まさに論理構造であるのです。
 人間も原相のこのような論理構造に倣って、愛の目的を実現するための内的四位基台を造らなければなりません。そうすれば、そこから愛を指向する思考が生まれるようになるのです。

 本来の人間の姿
 本来、人間の思考においては、動機が心情または愛でなければなりません。すなわち、人間の思考は愛の実践のためのものなのです。人間に自由が与えられているのも愛の実践のためなのです。自由をもって悪を行ったり、人を憎むのは自由の濫用なのです。愛の実現とは、要するの愛の世界の実現であり、創造理想の世界の実現です。そして多くの人が愛を目指して思考すればするほど、愛の世界はより早く実現するのです。

 創造の二段構造
 創造の二段構造については、これまで何度も述べられてきていますが、ここではそれと論理学の関係について述べられています。創造の二段構造とは、内的発展的四位基台と外的発展的四位基台が連続的に形成されることを意味します。そのとき、内的発展的四位基台からロゴスが形成されるのですが、その内的発展的四位基台がまさに論理構造なのです。
 それでは、外的発展的四位基台は論理学とはいかなる関係にあるのでしょうか。論理学にとって外的発展的四位基台は果たして必要なものなのでしょうか。それは必ず必要なものなのです。なぜならば統一論理学において、思考は創造目的の実現あるいは愛の実現を指向するものであり、したがって愛の実践を前提とするからなのです。実践するとは、心に思ったことを外部に対して実際に行うことであり、それがまさに外的四位基台の形成を意味するのです。実践の対象は万物であり、人間です。すなわち愛の実践とは、万物を愛し、人間を愛することなのです。そのように「思考する」ということは、そこには必ず動機と目的と方向があるのであり、必ず実践に移され、行動と結びつかなければならないのです。
 そのように思考が実践と結びつくということは、神様がそのようになされたからです。すなわち神様は構想され(ロゴスを形成し)、創造を開始されたのです。それで「創造の二段構造」という概念が成立したのです。形式論理学では思考そのものだけの形式や法則を扱っていますが、統一論理学の立場から見れば、それは間違いではありませんが不十分なのです。よく「知行一致」とか「理論と実践の統一」といわれますが、その根拠が創造の二段構造にあるのです。