第十章　論理学 : 一　従来の論理学 : （四）　記号論理学

　記号論理学は、形式論理学を発展させたものであり、数学的記号を用いて、正しい判断の仕方を正確に研究しようとするものです。形式論理学では、概念の外延の包摂関係、すなわち判断における主概念と賓概念の包摂関係を主題としていました。それに対して記号論理学では概念と概念、命題と命題の結合関係に注目し、数学的記号によって思考の法則や形式を研究することがその主題となりました。
　命題の結合の５つの基本形式とされているのは、次のようなものです。（ｐ、ｑを任意の二つの命題とします）
　�“歡蝓�negation）「ｐでない」…… 〜ｐ
　�∩�立（disjunction）「ｐまたはｑ」…… ｐ∨ｑ
　�Ｎ称�（conjunction）「ｐとｑ」…… ｐ・ｑ
　�ご淮�（implication）「ｐならばｑ」…… ｐ⊃ｑ
　�ヅ�立（equivalence）「ｐはｑに等しい」…… ｐ≡ｑ
　この五つの基本結合によって、いかなる複雑な演繹的推理も正確に表現されます。例えば形式論理学の基本的な原理である同一律、矛盾律、排中律は次のように記号化されます。
　同一律……ｐ⊃ｐまたはｐ≡ｐ
　矛盾律……〜（ｐ・〜ｐ）
　排中律……ｐ∨〜ｐ
　哲学はそれぞれ膨大な体系をもっていますが、その論理構成が正しいかどうかが問題です。その正しさを見分けるのに、数学的記号を用いて計算してみればよいというのです。そのような立場からできたのが記号論理学です。