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第八章 歴史論 : 二 創造の法則 : (六) 六数期間の法則 |
聖書によれば、神様の宇宙創造において、アダムの創造までに六日かかったとされています。すなわち、アダムの創造は六数期間を前に立てて行われたのであり、この期間はアダムをつくるための準備期間でした。同様に、再創造歴史においても、第二アダムであるメシヤ(イエス様)降臨の六数期間前、すなわち前6世紀から神様はメシヤを迎えるための準備を始められたのです。
紀元前6世紀ごろ、神様はユダヤ民族をバビロンの捕虜にせしめて彼らが不信仰を悔い改めるようにさせられましたが、それは6世紀後に降臨されるメシヤを迎えるための準備だったのです。紀元前6世紀ごろ、中国には孔子(ca.551-479 B.C.)が現れて儒教を立てました。そして孔子以後、6世紀をかけて諸子百家として知られている多くの思想家が現れ、中国思想の黄金時代を築き上げました。インドにおいても、紀元前6世紀に釈迦(ca.565-485 B.C.)が現れて仏教を立てました。またそれと前後してウパニシャド(奥義書)と呼ばれる古代インド哲学書が出現しました。同じころ、中東地方ではゾロアスター教が起こり、ギリシャでは哲学、芸術、科学などが飛躍的に発展しました。これらはみなメシヤを迎えるための準備だったのです。神様はこのようにして、それぞれの地域の人々を彼らに適した方法で宗教的または思想的に善なる方向に導いて、彼らがメシヤを迎えることができるように準備されたのです。
実存主義哲学者であるヤスパースは、紀元前500年ごろを前後して、シナ、インド、イラン、パレスチナ、ギリシャなどで相互に何の関係もなく、精神的指導者たち(宗教の開祖や哲人)が現れたことに注目し、その時代を「枢軸時代」と呼びました。ほぼ同じ時代に、そのような精神的指導者たちが、互いに約束でもしたかのように世界各地に現れた理由は何なのでしょうか。彼はそれを歴史的な秘密であり、解くことのできない謎であるといいました。その謎は、六数期間の法則を理解することによって解けるようになるのです。
再臨の時にも同様です。第三アダムである再臨のメシヤを迎える時にも、メシヤ降臨の六数期間前から神様は再臨を迎える準備を始められたのです。それが14世紀ごろから胎動し始めて、16世紀になって本格化した、宗教改革とルネサンスでした。18世紀末に起きた産業革命、そしてその後の科学と経済の飛躍的な発展も、やはりそのための準備だったのです。すなわち神様は復帰摂理歴史において、20世紀に再臨主を地上に送るために、そのような準備をなされたのです。
イエス様を迎えるために、6世紀前に現れた宗教家、哲学者たちは、メシヤの道を準備する使命をもつ天使長の立場にありました。したがって彼らの語った愛と真理は完全なものではなく、部分的なものでした。神様の子であるメシヤだけが真の愛を実践し、絶対的な真理を説くことができ、その愛と真理を通じて、初めてそれまでの宗教や思想のすべての未解決問題を解決することができるのです。それまでの宗教の教理や哲学の内容は、神様が天使を通じて教えた、不完全な愛であり、不完全な真理であるために、メシヤが降臨する時が来れば、結局、未解決の問題があらわになるのです。そして無力化するようになります。そのときメシヤが降臨して、従来の無力化した宗教や思想を絶対的な真の愛と真の真理によって補強し、蘇生せしめ、宗教統一、思想統一を成し遂げながら、統一世界を実現するようになっていたのです。
しかしイエス様が十字架で亡くなられたために、統一世界は実現できないまま、イエス様の使命は再臨主にゆだねられたのでした。したがって儒教、仏教、東洋哲学、ギリシャ哲学などは統一されないまま、再臨の時まで残ることになったのです。それゆえ初臨の時になされなければならなかった、宗教統一、思想統一の課題は、再臨の時に初めて完成されるようになるのです。すなわち再臨主は、それまでの宗教や思想の未解決の問題を神様の真の愛と真の真理によって解決し、宗教統一、思想統一を成し遂げて、統一世界を実現されるのです。
ここで留意すべきことは、再臨主を迎える6世紀前からの準備期間は、メシヤ初臨の6世紀前のように新しく宗教や哲学などを立てる必要はなく、既存の宗教や哲学を残せばよかったということなのです。仏教などが生き残ってきたのはそのためなのです。ただし中東におけるゾロアスター教は、善悪二神の宗教だったために、7世紀ごろ、唯一神教であるイスラム教によって取って代わられたのです。