御言の図書館のサイトです。御言をはじめ様々な書籍を閲覧できるようにしてあります。
第七章 芸術論 : 四 創作の要件 : (二) 対象の要件 |
作者のモチーフ(目的)、主題、構想などの性相的要件が作品の中によう反映されているといういことが、対象である作品のもつべき要件です。そのためにはその性相的条件を表すのに最も適した材料を用いることが必要です。そしてその材料を用いて創作するとき、作品において物理的要素(構成要素)が最高の調和を表すようにしなければなりません。それが形状的条件です。
芸術作品において物理的要素(構成要素)がよく調和していなくてはならないということは、これまでに述べられているように、多くの芸術家や美学者たちが共通に言っていることです。物理的要素の調和とは、線の律動、形態の集合の調和、空間の調和、明暗の調和、色彩の調和、音律の調和、絵画における量感の調和、線分分割の調和、舞踊における動作の調和などをいいます。
例を挙げれば、線分分割には、古くから知られている黄金分割というのがあります。それは、与えられた線分を短い辺と長い辺の比が、長い辺と全体の比に等しくなるように切ることであって、およそ5対8の比に分けることです。この比例を用いれば、形態的に安定して美が感じられるというのです。例えば絵画において、地平線の上下の空間の関係、前景と背景の関係をそのような比にすれば調和がもたらされるのです。ピラミッド、ゴシック寺院の尖塔においても、そのような分割が適用されています。