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第六章 倫理論 : 一 統一倫理論の原理的根拠 : |
統一原理の中に、本倫理論が成立する三つの根拠があります。第一は、神様の真の愛であり、第二は、家庭的四位基台の理論であり、第三は、三対象目的の概念です。これらに関してさらに具体的に説明されています。
第一の原理的根拠は神様の愛です。愛の主体であられる神様は、その愛の実体対象として人間を創造され、人間が完成したあと、神様の心情と愛を相続し、日常生活を通じて愛を実践するようにされたのです。
神様の愛は真美善の価値の基盤となります。真美善にそれぞれ対応する学問である教育論、芸術論、倫理論の成立の根拠も神様の愛なのです。特に倫理論においてはそうです。それゆえ神様の真の愛は倫理論の成立において究極的な根拠となるのです。
原理的根拠の第二は家庭的四位基台です。神様の愛が完全に実現するためには家庭的四位基台が必要となります。ゆえに神様の愛は、現実的には家庭的四位基台(神様、父、母、子女の四位置)を通じて分性的愛(分性愛)として、すなわち父母の愛、夫婦の愛、子女の愛として現れます。ところで神様を中心として見るとき、父母や夫婦や子女はみな神様の対象となります。父母は神様の第一の対象となり、夫婦は神様の第二の対象となり、子女は神様の第三の対象になります。それゆえ神様を中心とした、父母の愛、夫婦の愛、子女の愛を合わせて三対象の愛というのです。それゆえ本倫理論は、家庭内の四つの位置を中心とした愛の関係を全面的に扱うことになります。
原理的根拠の第三は、三対象目的です。完成した男性と女性が神様を中心として夫婦となり、互いに愛し合うとき、神様に似た子女が生まれます。そのとき、神様を中心として父(夫)と母(妻)と子女の四つの位置において家庭的四位基台が形成されます。そして祖父母がいれば、祖父母は家庭において神様を代身する立場に立つのであり、祖父母を中心とした父母と子女によって家庭的四位基台が形成されるのです。
祖父母を中心とした家庭的四位基台において、各々の位置は三つの対象に対するようになります。すなわち祖父母は父、母、子女を、父は祖父母、母(妻)、子女を、母は祖父母、父(夫)、子女を、子女は祖父母、父、母を対象として対するのです。そのように家庭的四位基台の四つの位置はそれぞれ三対象に対するようになるのですが、家庭における人間の被造目的は、この三対象に対することによって(愛することによって)実現されるのです。そのときの創造目的(被造目的)を三対象目的といいます。したがって、四位基台の各位置において三対象を愛するとき、三対象目的が達成されるようになるのです。
三対象目的の実現は、三つの対象に向かって神様の愛を実現するということです。神様の愛は絶対的愛ですが、家庭的四位基台における位置と方向性に応じて、分性化(分離)されて分性的愛(分離愛ともいいます)として現れます。分性的愛は、基本的には父母の愛、夫婦の愛、子女の愛の三種類の愛、すなわち三対象の愛になります。(すでに述べられているように、三対象とは神様の第一対象である父母、第二対象である夫婦、第三対象である子女を意味します)
父母の愛は、父母から子女に向かう下向性の愛(下向愛)であり、夫婦の愛は、夫婦間の横的な愛(横的愛)であり、子女の愛は、子女から父母に向かう上向性の愛(上向愛)です。ところでこのような分性的な愛を同時に、家庭的四位基台の四つの位置においてそれぞれ三対象に相対する愛があるために、正確にいえば、愛には十二の方向性があります。その結果、家庭愛には、ニュアンスの異なるいろいろな愛が現れるのです。そして、それぞれの愛の実現に際して、それぞれにふさわしい徳目が必要になるのです。
以上のことを要約すれば、次のようになります。神様の創造理想とは、人間が家庭を通じて神様の愛を実現することであり、家庭的四位基台を完成することなのです。したがって統一倫理論の目的は、家庭的四位基台を基礎とする愛の徳目を扱うことになります。