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第四章 価値論 : 四 価値の本質 : |
価値の本質的要素と現実的価値
価値には対象がもっている性質としての価値と、主体と対象の間で決定される価値の二つの価値があります。前者を潜在的価値、後者を現実的価値といいます。先に価値とは主体の欲望を充足させる対象の性質であるといったのは、潜在的価値のことです。価値は必ず現実的に評価されるものであり、評価は主体と対象の間の授受作用によってなされます。その評価(授受作用)によって決定される価値が現実的価値です。
潜在的価値、すなわち対象がもっている性質とは、価値の本質的要素であり、対象がもっている内容、属性、条件などをいいます。真美善の価値それ自体が対象に与えられているのではなく、そのような価値となり得る要素(本質的要素)として対象の中に潜在しているのです。それが対象がもっている潜在的価値なのです。
潜在的価値(本質的価値)
それでは価値の本質、すなわち価値の本質的要素とは、具体的にいかなるものなのでしょうか。それは対象のもっている創造目的と、対象の中にある相対的要素の相互間の調和です。すべての被造物には、必ず創造目的(被造目的)があります。例えば、花には美でもって人間を喜ばせようとする創造目的があります。人間が造った芸術作品や商品の場合でも、必ず造られた目的があるのです。
それから相対的要素の調和とは、主体的要素と対象的要素の調和のことです。万物は個性真理体であるために、原相に似て必ずその内部に性相と形状、陽性と陰性、主要素と従要素などの、主体的要素と対象的要素の相対的要素が宿っています。この相対的要素の間には、必ず授受作用による調和が現れるのです。その時の授受作用は、対比型の授受作用です。そのように創造目的を中心として相対的要素が調和している状態、そればまさに価値の本質なのです。