第二章 存在論 : 二 連体 : (四) 存在格位

 すべての個体には、必ずそれぞれの存在位置が与えられています。そのとき個体に与えられている位置のことを存在格位といいます。一個体は他の個体とともに主体と対象の関係、すなわち授受の関係を結んでいますが、そこに主体と対象の格位の差が生じるのです。

 連体から見た存在格位
 一個体は個性真理体であると同時に連体であるために、対象の位置(対象格位)にありながら、同時に主体の位置(主体格位)にもあります。その結果、数多くの個体が上下、前後、左右に連結されて、位置(格位)の系列を成すのです。その位置の系列がすなわち秩序なのです。このような主体格位と対象格位の系列、すなわち連体の系列は、原相における主体と対象の格位が、三次元の空間の世界である被造世界に展開してできたものです。
 宇宙には無数に多くの星がありますが、それらがみな連体であるために、格位の差異を通じて授受作用を行いながら、一大秩序体系を形成しています。そのような宇宙の秩序は原相の二段構造に似た存在の二段構造が、連続的、段階的に拡大し、形成されたものなのです。連体は二重目的体でもあり、宇宙のすべての存在は連結されているのです。かくして宇宙は一大有機体となっているのです。そのような有機体秩序の最上位に人間が位置しており、人間の上に神様が位置しているのです。

 縦的秩序と横的秩序
 宇宙の秩序には縦的な秩序と横的な秩序があります。宇宙の縦的秩序の例を挙げれば、次のようなものがあります。月(衛星)と地球(惑星)は対象と主体の関係で授受作用を行っています。また地球は太陽と授受作用を行って、他の惑星と共に太陽系を形成していますが、そのとき、地球が対象で太陽が主体です。次に太陽は他の多くの恒星と共に銀河系の中心にある核恒星系と授受作用を行って銀河系を形成しています。そのとき、太陽は対象で銀河系の中心である核恒星系は主体です。さらに銀河系は他の多くの銀河系と共に宇宙の中心部と授受作用をして、宇宙全体を形成しています。そのとき、銀河系は対象で宇宙の中心部が主体です。このような月の中心を連結する系列が宇宙の縦的な秩序なのです。
 次は、宇宙の横的な秩序の例を挙げてみます。太陽系を見ると、太陽を中心として水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星という、九つの惑星が横的に秩序正しく配列しています。太陽を中心としたこれらの惑星間の配列が太陽系における横的な秩序なのです。このような横的秩序が惑星をもつ他の恒星にも現れているのはもちろんです。

 宇宙秩序と家庭秩序
 家庭も、宇宙のような秩序体系を成しているのが、本来の姿です。家庭には孫、子女、父母、祖父母、曾祖父母という縦的な秩序と、父母を中心とした子女たちの兄弟姉妹の序列としての横的な秩序があるのです。
 構成要素という観点から見れば、人間は小宇宙であり、宇宙の縮小体です。そして秩序という観点から見れば、家庭は宇宙の縮小体であり、宇宙は家庭の拡大型であります。一つの銀河系の中には、太陽系のような惑星系が無数にあり、また宇宙には銀河系が無数にあると言われています。したがって宇宙は無数の天体家庭の集合体であると見ることができます。
 ところで宇宙において、円満な授受作用によって秩序が維持されています。太陽系では、大要を中心にした九つの惑星が、太陽との授受作用によって、それぞれ一定の軌道を回りながら円盤形を保っています。銀河系は、約二千億の恒星から成っていますが、それらの恒星は銀河系の中心にある核恒星系との授受作用によって、それぞれ一定の軌道を回りながら、全体が凸レンズ状の形を成しています。また宇宙には約二千億の銀河がありますが、それぞれの銀河が宇宙の中心と授受作用を行いながら、一定の軌道を回り、宇宙全体の統一をなしているのです。
 このような宇宙の秩序が家庭にも適用されます。宇宙において、、天体相互間の円満で調和的な授受作用(天道)によって、宇宙の秩序と平和が維持されるように、家庭においても家族相互間の円満で調和的な授受作用の法則、すなわち愛の道理によって、家庭の秩序と平和が維持されなければなりません。この愛の道理がまさに倫理であり、天道に対する家庭の規範なのです。ところが人間の堕落のために、家庭は本来の秩序の姿を失ってしまいました。それゆえ家庭倫理が破綻し、不和が生じるようになったのであり、家庭の延長であり、拡大型である社会にも絶えず混乱が引き起こされているのです。