御言の図書館のサイトです。御言をはじめ様々な書籍を閲覧できるようにしてあります。
第二章 存在論 : 一 個性真理体 : (二) 陽性と陰性 |
陽性と陰性も二性性相です
次は、個性真理体の陽性と陰性について説明されています。原相論で述べられたように、陽性と陰性も神様の二性性相ですが、それは性相と形状の属性です。つまり性相にも陽性と陰性があり、形状にも陽性と陰性があるということなのです。
まず、人間の性相と形状における属性としての陽性と陰性のついて説明されています。人間の性相は心ですが、心には知情意の三機能があります。この知情意のそれぞれの機能に陽的な面と陰的な面があるのです。
知の陽的な面は、明晰、記憶、想起力、判明、才知などです。それに対して知の陰的な面は、模糊、忘却、記銘力、混同、生真面目などをいいます。情の陽的な面は、愉快、騒がしい、喜び、興奮などであり、情の陰的な面は、深い、静粛、悲しみ、沈着などです。意においては、積極的、攻撃的、創造的、軽率性などが陽的な面で、消極的、包容的、保守的、慎重性などが陰的な面です。
形状すなわち体においては、隆起した部分、突き出した部分、凸部、表面などが陽的な面であり、陥没した部分、孔穴部、凹部、裏面などが陰的な面です。
動物、植物、鉱物においても、それぞれ性相に陽性と陰性があり、形状に陽性と陰性があります。動物には活発に行動する時と、そうでない時があります。植物には成長する時と枯れる時があり、花が咲く時と散る時があり、幹は上に向かい、根は地中に向かっています。そして鉱物においては、物理化学作用性が活発に進行する時と、そうでない時があります。これらがそれぞれ性相面における陽性と陰性です。形状面にも陽性と陰性の現象が現れます。形状の突出部と孔穴部、高と低、表と裏、明と暗、剛と柔、動と静、清と濁、熱さと冷たさ、昼と夜、夏と冬、天と地、山と谷などが陽陰の例です。
以上、個性真理体の性相と形状における陽性と陰性について説明しました。ところで各個性真理体において、性相と形状はこのように陽性と陰性を属性としてもっていますが、ある個体は陽性をより多く表し、他の個体は陰性をより多く表しています。前者を陽性実体といい、後者を陰性実体といいます。人間における男性と女性、動物における雄と雌、植物における雄しべと雌しべ、分子における陽イオンと陰イオン、原子における陽子と電子がその例です。単細胞のバクテリアにも雄と雌があるといわれています。
人間の場合の陽性実体と陰性実体
陽性実体と陰性実体は特に人間において、それぞれ男性と女性を表す概念としてよく用いられます。それでは人間の場合、陽性実体と陰性実体とは具体的にいかなるものなのでしょうか。それに関してはすでに原相論におておいても詳しく述べられていますが、ここで再びその要点を述べられています。
形状(身体)において、男性と女性の陽陰の差異は明らかであって、それは量的差異です。すなわち男性の身体は女性の身体に比べて陽的な要素がより多く、女性の身体は男性の身体に比べて陰的な要素がより多いのです。それに対して性相(知情意の心)における男女間の差異は質的な差異なのです。
すでに説明したように、男性と女性は共に、知にも情にも意にも陽陰がありますが、それぞれの陽陰には男女間で質的な差異があるのです。例えば陽的な知である明晰の場合、男女共に明晰さをもっていますが、男性と女性の間で明晰さの質が異なるのです。男性の明晰さは包括的な場合が多く、女性のそれは分析的または縮小指向的な場合が多いのです。また陰的な情である悲しみの場合、男性の悲しみは悲痛(激しい悲しみ)の傾向があり、女性の悲しみは悲哀(繊細な悲しみ)の場合が多いのです。そして陽的な意である積極性の場合、男性の積極性は硬い感触を与え、女性の積極性は軟らかい感触を与えるのです。性相におけるこのような男女間の差異が質的差異なのです。
理解の便宜上、声楽の例を挙げてみます。声楽において、男性のテノールと女性のソプラノは共に高音(陽)ですが、それらは互いに質的に異なっています。また男性のバスと女性のアルトは共に低音(陰)ですが、それらも互いに質的に異なっています。男性と女性における、性相の属性である陽性と陰性には、このように質的に差があるのです。そのために男性には男らしさが現れ、女性には女らしさが現れるのです。
次に、宇宙の創造過程において、いかに陽陰の作用が働いてきたのかを見てみましょう。神様の創造は、陽陰の調和を活用した一種の壮大な芸術作品の創作に比喩することができます。すなわち調和という面から見るとき、神様は「天地創造」という一つの壮大な交響曲を演奏してきたと見ることができるのです。神様は大爆発(ビッグバン)より始めて、銀河系を造り、太陽系を造り、地球を造られました。そして地球上において、植物、動物を造り、最後に人間を造られました。そのとき、交響曲の演奏において、音の高低、強弱、長短、陽的な楽器と陰的な楽器の演奏など、いろいろな陽陰が調和して作用しているのと同様に、宇宙創造の過程においても、無数の陽陰の調和が作用してきたと見るのです。
銀河系には約二千億の恒星がありますが、それらは渦巻状に配列されています。星の密なところが陽であり、まばらなところが陰です。地球には陸と海ができましたが、陸が陽で海が陰です。山と谷、昼と夜、朝と夕、夏と冬なども陽陰の調和です。このように数多くの陽陰の調和が絡み合うことにより、宇宙が形成され、地球が形成され、生物が発生し、人間が出現したのです。
人間の活動も陽陰の作用によって行われています。夫婦の調和によって、家庭が維持されています。美術創作においても、線の屈曲、色の明暗、濃淡、量感の大小などの陽陰の調和が必要です。
このように宇宙創造においても、人間社会の活動においても、陽性と陰性の調和が性相と形状を通じて現れているのです。このような陽陰の調和的な作用は変化や発展のために、そして美を表すために、なくてはならない要素です。ここに神様が陽性と陰性を性相と形状の属性としたのは、陽性と陰性を通して調和と美を表すためであると結論になるのです。