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第七章 韓国の未来、世界の未来 : グローバルリーダーは世界を懐に抱く人 : |
志を立てることは、木を植えることと同じです。家の庭にナツメの木を植えれば、家の庭にナツメが実り、裏山にリンゴの木を植えれば、裏山にリンゴが実ります。どのような志をどのような所に植えるのかを考えてみてください。皆さんがどのような志を立ててどこに植えるのかによって、ソウルのナツメの木にも、アメリカのリンゴの木にもなれるのです。もちろん、南太平洋のヤシの木にもなることができます。皆さんが植えた果物の木のように、未来に皆さんの志が実を結ぶのです。どうか、その実がどこに実ればよいかを考えながら志を立ててください。
志を立てるときは、心を広く持ち、必ず全世界を見渡してみてください。貧困と疾病がなくならない苦痛のアフリカを見て、宗教問題で銃口を向けて生きているイスラエルとパレスチナを見て、麻薬の原料であるケシを栽培して辛うじて生きているアフガニスタンも見てください。極度の貪欲さと利己心によって世界経済を窮地に追いやったアメリカも見て、地震と津波が絶えないインドネシアも見てください。そして、その国々の間に、自分自身を立たせてみてください。自分がどの国、どの事情に適合するのかを考えてみてください。もしかすると、新しい宗教紛争が起きるインドが適合するかもしれません。もしかすると、旱魃と飢餓で苦しむルワンダかもしれません。
志を立てるにおいて、自国の狭い国土を恨むような愚かなことをしないでください。皆さんが行うことによって、自分の国はいくらでも広げることができ、ひょっとすると、国境が完全になくなるかもしれません。私たちがアフリカで活躍すれば、アフリカは自分たちの国になります。ですから、世界を舞台にしてやれることを探してみてください。おそらく、今まで皆さんが夢見てきたよりも、はるかに多くのことを発見できるでしょう。一度だけの人生を世界が必要とすることに投じてください。冒険をしなければ宝島に行くことはできません。自分の国を超えて世界を舞台に志を立てることを願っています。
1980年代に私は、韓国の大学生を日本とアメリカに送りました。毎日のように催涙弾が飛び交う祖国を離れ、より広い世界、多様な世界を見せるためでした。井の中の蛙は、井戸の外にもっと広い世界があることを知りません。
私は、「グローバル」という言葉も知らない時に、グローバルを夢見た人です。日本留学に出発したのも、より広い世界を見るためでした。かつて、日本留学から戻った後、中国の海拉爾に行ってモンゴル語と中国語、ロシア語を学ぼうと計画したのも、世界的に生きるためでした。私は、今も飛行機に乗って世界中を飛び回っています。1日に1カ国ずつ忙しく回っても、世界を回ろうとすれば、半年以上かかります。
世界のどこにでも人が暮らしていますが、状況は千差万別です。ご飯を炊く水がない所もあり、水が多すぎる所もあります。電気が通っていない所もあり、つくった電気をいまだに使うことができない国もあります。何でもそうですが、一方にはあふれ、一方では足らない、そのようなことが世界にはたくさんあるのです。問題は、余っていたり、足らなかったりするものを、公平に分配する役割をする人が少ないということです。
資源も同様です。ある国には石炭や鉄鉱石が山のように積まれています。石炭を掘るために中に入っていく必要もありません。ただ山のように積み上がっている石炭の固まりから、スコップで掘り出せばよいのです。しかし、韓国には石炭も鉄鉱石もありません。無煙炭を掘り出そうとすれば、命がけで数十メートルも坑道を掘って土の中に入っていかなければなりません。
技術もそうです。アフリカにはバナナが自然によく育つ所がたくさんあるので、バナナさえ食べていれば飢えることはありません。ところが、バナナ農場を造って大量にバナナを育てる技術がないために飢えているのです。韓国はバナナに適した気候ではないのに、立派にバナナを栽培しています。私たちのこのような技術は、アフリカの貧困を解決するのに大きな力になるのです。韓国のトウモロコシ栽培技術が、北朝鮮の飢餓の解決に役立ったことも同じ話です。
最近流行している言葉の中に「グローバルリーダー」という言葉があります。「英語を流暢に話してグローバルリーダーになりたい」と言いますが、実際にグローバルリーダーになる道は、英語の実力にかかっているのではありません。英語は意思疎通の道具にすぎず、本当のグローバルリーダーは世界を自分の懐に抱く人でなければなりません。世界の問題に全く関心がないのに、英語で意思疎通ができるからといってグローバルリーダーになることはできないのです。
グローバルリーダーは、地球上のあらゆる問題を自分の問題と考え、それを解決しようとする開拓者の精神を持たなければなりません。安定的で固定的な所得に執着したり、退職後の年金と平安な家庭生活を夢見たりする人は、グローバルリーダーになることができません。未来に何が待っているかよく分からなくても、世界が自分の国であり、全世界の人類がすべて自分の兄弟だという意識があってこそ、グローバルリーダーになることができるのです。
兄弟とは何でしょうか。神様はなぜ、私たちに兄弟を下さったのでしょうか。兄弟は全世界の人類を象徴します。私たちは家庭の中で兄弟を愛する経験を通して、人類を愛する人類愛、同胞愛を学びます。兄と姉を愛する心がそのように広がるのです。お互いに愛を分かち合う家庭の姿は、人類が互いに融和する姿と同じです。たとえ自分が空腹でも、兄弟のためにご飯を残すことのできる愛が兄弟愛です。グローバルリーダーは、まさに人類を相手に兄弟愛を施す人です。
今は「地球村」という言葉さえ昔の言葉になりました。地球はすでに一つの生活圏です。人生の目標が、大学を出て月給をたくさんくれる会社に就職し、安定して生きていくことだとすれば、子犬ぐらいの成功を収めるようになります。しかし、アフリカの難民救護に命をかけて取り組めば、虎のような成功を収めるでしょう。どちらを選択するかは各自の心にかかっています。
私は今も世界を飛び回っています。一日も休む時間はありません。世界はまるで生きている生物のように絶えず変化し、問題を引き起こします。私は、そのような問題のある、暗くて奥まった所を訪ねて回ります。私が訪ねていく所は、景色がよくて楽な所ではありませんが、私は暗くて、大変で、孤独な所で幸福を感じます。
私は、皆さんの国から本当の意味のグローバルリーダーが出てくることを願います。国連を導いていく政治リーダーが出てくることを願い、紛争地域の争いを防いでくれる外交リーダーが出てくることを願います。道端を徘徊して死んでいく貧しい人たちの世話をするマザー・テレサのような救いのリーダーが出てくることを願います。また、私のように、人々が顧みることのない土地と海を開拓し、新しい世界を広げていく平和のリーダーが出てくることを願います。夢を持って志を立てることがそのスタートです。冒険心と開拓精神を持って、人が夢見ることのできないような夢を持ち、意味のある志を立てて、人類のためのグローバルリーダーとなることを切に願うものです。