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第五章 真の家庭が真の人間を完成する : 天国の礎は平和な家庭 : |
西洋の人たちは、本当に孤独に生きています。子供たちは18歳になれば家を離れ、クリスマスの時などにちょっと顔を見せればそれで終わりです。両親を訪ねていって安否を気遣うこともあまりありません。結婚すれば完全に独立して暮らし、一人で生活できないくらい年を取ると療養所に行きます。そんな状況なので、西洋の老人は東洋の文化を羨ましく思っています。「東洋の人たちは、お祖父さんとお祖母さんを一家の長として敬い、一緒に暮らすので、本当に見ていていいですね。子供たちが年老いた両親を養い……。それでこそ人として生き甲斐があるというものです。療養所で横になって、子供の顔も見ることができずに、歳月が過ぎていくのも分からないまま生き長らえて、何をするというのですか」と嘆く老人が一人や二人ではありません。
ところが、西洋の老人がそれほど羨む東洋的な家庭観がだんだんと崩れていっています。いつからか始まった西洋ブームのために、数千年続いてきた私たちの伝統を自ら投げ捨てたのです。私たちの服を捨て、私たちの食べ物を捨て、私たちの家庭を捨てました。年末になると、隣人助け合い運動の放送番組では、毎年増えていく独り暮らしの老人の人数が発表されます。そのようなニュースを見るたびに、残念な気持ちを抑えることができません。家庭は家族が一緒に集まって暮らす所です。家庭がばらばらに別れて一人になってしまえば、それはすでに家族ではありません。大家族制度は韓国の美しい文化です。
私は、三代が一緒に暮らす家庭を勧めています。韓国の伝統を守るためだけではありません。夫婦が結婚して貴い子供を生めば、親は子供にすべての物を譲りますが、譲れるものには限界があります。父母は現在を、子供は未来を象徴します。祖父母は過去の歴史を代表します。したがって、祖父母と父母と子供が一緒に暮らしてこそ、子供は過去と現在の両方の運勢をすべて譲り受けることができるのです。祖父母を愛し、尊敬することは、過去の歴史を受け継いで、過去の世界を学ぶことです。子供は父母から現在を生きる貴い知恵を学び、父母は子供を愛して未来に備えるのです。
お祖父さんは神様の代身の立場です。いくら賢い青年でも、広い世の中の秘密をすべて知ることはできません。人が年を取って自然に悟るようになるあらゆる人生の秘密を、若い人はまだ知りません。お祖父さんが家庭の歴史になる理由がまさにここにあります。お祖父さんは、長きにわたって自ら体験して悟った知恵を、孫に伝達する貴い師です。
世の中で最も年を取ったお祖父さんはまさしく神様の立場です。ですから、お祖父さんの愛を受け、またお祖父さんのために生きる人生は、神の愛を悟って、神のために生きる人生ということができます。このような伝統を守ってこそ、神の国の秘密倉庫の扉を開けて、愛の宝を受け取ることができるのです。年を取った人を無視することは、その国の国民性を捨てることであり、民族の根を無視することと同じです。
秋になれば、栗の木はだんだんと水分がなくなり、葉が落ちます。栗の毬も殻が剥がれ、栗の実を包んだ内皮も乾いてしまいます。これがほかでもない生命の循環です。人もこれと同じで、赤ん坊として生まれ、父母の愛を受けて育ち、良い配偶者と出会って結婚します。これらすべてが愛によってなされる生命の輪です。そして年を取れば、乾いた栗の毬のようになっていきます。私たち全員が同じです。老人は他にいるのではなく、年を取れば私たち全員が老人になります。それを考えたら、いくらもうろくした老人だとしても、いい加減に接してはいけません。
「家和して万事成る」という言葉を覚えておくべきです。家庭が平和であれば、すべてのことがうまくいくという意味です。平和な家庭は天国の基礎であり、家庭の原動力は愛です。家庭を愛するように宇宙を愛すれば、どこへ行っても歓迎されるようになります。神様は、宇宙全体の父母として愛の真ん中にいらっしゃるのです。したがって、愛にあふれた家庭は、神様にまで一瀉千里で通じるようになります。家庭が愛によって完成してこそ宇宙が完成するのです。