第2章 死と霊界 : 第一節 人生必然の道 : 4. 生涯はあまりにも短い

 人間は、何千、何百年も生きるのはありません。百年ほど生きて、みな死にます。
 数多くの歴史時代を経てきながら、私たちの多くの先祖たちが死んでいきましたが、全体に良いこと、全体の利益を考えたなら、百何生きたことが、千年たってもそのまま残されるのです。ところが個人を中心として出てきて、全部滅びました。全体を滅ぼしてしまったのです。
 そのような人生の暮らしをしてきたために、問題が起きたのです。ここでいちばん問題になることが何でしょうか。自分を中心としたこのすべての測定方向を、どのように全体的な測定方向に代替するか、自分第一主義を強調したのを、どのように全体の利益になり得ることに投入するかということです。
 それで、個人主義、自分の利益を追求する、人生行路の出発をひっくり返さなければなりません。ひっくり返すには、ただそのまま何もなくひっくり返してはいけません。
 一着しかない服を着たのに、これを誰かが脱がそうとすれば、死んでも脱ぐまいとします。春夏秋冬それぞれの服を作っておいて、春に冬の服を着たら、春の服を持ってきて、「これは冬の服だ、脱ぎなさい」と言い、夏に春の服を着たら夏の服を持っていって脱ぎなさいと言うべきなのです。そのようなことを知りませんでした。代替し得る、より価値があるものが何かを知らなかったのです。

 この地上には父母がいて、師がいて、親戚たちがいます。この地には、そのような因縁を結んでいくことができる道がありますが、霊界にはそのようなものがありません。霊界では、神様を中心としてすべてのために暮らすのです。位置が全部区別されています。それゆえ、上にいる人が下に来ることもできず、下にいる人が上に行くことも難しいのです。本来は、地上で完成してこそ霊界に行くことができるようになっています。一度あの世に入れば終わりです。どうせ人間は死にます。
 生涯の路程は、あまりにも短いのです。一生はあまりにも短いのです。人の寿命が80年だとすると、あまりにも短いのです。霊界の時間では8時間にもなりません。永遠の世界の時間で考えれば、8時間にもならないのです。