第3章 霊界 : 第二節 霊界はどのようなところか : 1. 霊界と肉界

(1)霊界と肉界の中心
 皆さんは、霊界について相当に気掛かりでしょう。今、世界には数多くの宗教がありますが、その宗教が行く道は霊界と関係を結んで、永生という世界、永遠に生きる世界、すなわち神様と共に生きる世界を探していくのです。そのような世界が宗教の目的地です。
 しかし今、宗教はどのようになったでしょうか。だんだん脱落して、「宗教は、弱者たちが信じるものだ。わたしたち人間に必要のないものだ。それは道義的な一つの表象として、人間たちが操作しておいたものだ」。このような結論を下す時代に入ってきました。
 宗教の中心になるキリスト教だけを見てもそのようになっています。アメリカは全世界のキリスト教国家の代表国ですが、そのようなアメリカの家庭で育った人たちが宗教を離れて、自分勝手に暮らしています。
 神様は世界の中心であり、すべての理想の中心なのに、その神様がおられる霊界を中心として理想を描いたキリスト教にいながら、なぜ出てくるようになったのかというのです。第一の原因は、霊界があることをはっきりと知らなかったからです。知能をもった比較能力のある人間であるために、良い所があれば悪いものを捨ててそこへ行くようになっており、より次元の高い価値のある所があればそこに行くようになっています。それが人間の本性です。第二には、神様を知らなかったからです。
 その次に第三の原因は、霊界が中心になり、神様が中心になる愛としてつづられることを分からなかったからです。この三つが分からなかったのです。たとえ神様を知り、霊界を知っても、愛を中心とした世界があるということが分からなかったのです。
 愛があるところでは、上がってもよく、下がってもよく、間にいてもいいというのです。愛する夫が自分より高いといって嫌だと言い、愛する妻が自分より低いと言って、それを憎みますか。一つになれば勝手に低い所から高い所に上がることもでき、高い所から低い所へ下りてくることもでき、中間にいることもでき、どこへでも行くことができます。制裁がありません。それで世の中では、「この世界は一つの世界であるべきだ。統一の世界であるべきだ。平和の世界であるべきだ」と言うのです。

 霊界と肉界、霊的な存在と肉的な存在も同じです。ここは神様の愛、神様が中心になっています。私たちが普通考える堕落した人間は、神様が中心になっていません。
 人間は心と体から成っていますが、それは次元が違います。心と霊界は違います。霊界と肉界とは神様の愛を中心として言うのです。したがって、霊界と肉界が一つになるためには、必ず神様が介在しなければなりません。神様の愛を介在せずには、霊界がないのです。神様を中心として霊界というものがつながるのです。
 皆さんには良心があります。良心と霊界は、どのように違いますか。心と霊界は、どのように違うでしょうか。「自分の心も霊だろう、何だ?」このように考えるかもしれませんが、混同しています。
 心は霊界ではありません。堕落したために、心は霊的世界と関係を結んでいないのです。いわば、骨のない人のようなものが、堕落した人間たちの心です。骨のない人のようなものが、堕落した人間たちの心であると考えれば実感がわくのです。骨のない人のような形態が、堕落した人間たちの心だというのです。
 霊人体を見ると、霊人体にも体的要素があり、心の要素があります。霊人体の心のようなものが、霊的世界です。それは必ず神様と関係を結んでいます。
 皆さんは原理を習って分かるでしょうが、生心というものは何でしょうか。生心というものは、心と霊が合わさって、新しく一つの目的に向かって動くのです。神様を中心として、私たちの良心と一つになって、理想的な自分をつくり上げることが動機的心です。それで、その生心がなくては霊界と真なる愛を結ぶことができる自体の根源を探すことができません。
 生心が自分に生じれば体も喜び、全部それについていきます。自動的にこれが一つになります。今まで、人間にとっていちばん問題になることは、心と体が互いに離れていることです。霊的な力が自分に臨んで生心的起源になるようにさえなれば、心と体が自然に一つになるのです。そのような根本から革命が起こります。根本から是正する根源を発見できない限り、私たちは理想を訪ねていく道理がないのです。動機があってこそ結果が出てきます。
 宗教は生心を植えておこうというのです。生心を中心として数多くの宗教があります。ありとあらゆる形態があります。

(2)霊界と肉界の一体
 神様は、尊厳な方なのです。それで、霊界と肉界は一体化を成してしまいます。真の愛が現れなかったために、霊界と肉界が統一できなかったのであり、真の愛が現れなかったために、心と体が分かれたのであり、真の愛が立たなかったために、宗教と政治が分かれたのです。
 真の愛を中心として全部一つになるのです。個人、家庭、社会、国家、世界、天宙がみなつながります。私たちの手で、そのようにつくらなければいけないのです。そうでなければ、本然の天上天国、地上天国を相続することができません。
 霊界と肉界の一致を、どのようにさせるのでしょうか。真の愛で一つにするのです。